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『負傷者16人』観劇してきました②感想&シアタートーク [ごはん&散歩]

※明日の東京千秋楽にも行くけど、吐き出すためにとりあえず更新。


前にも書きましたが、益岡徹さんを目当てにした完全ミーハーで行きました。
そのために観劇日もシアタートークのある5月2日に。
チケット完売だったけど、数日したらキャンセルが出たらしく、すんなりゲット(d゚ω゚d)♪


幕が上がった直後、益岡さんの声が・・・わざとなのかな?
いつもテレビで聞くよりも低めのしゃがれ声。事が済んだあとのシーンだからかしら。
ちょっと違和感がありましたが、舞台が進むにつれて耳になじんできた。

中東問題にはまったく詳しくなく、セリフも基礎知識が無いと少々つらい。
井上芳雄さんが「僕も知識が乏しいので、本読みの時点でマフムードの感情の変化しかわからなかった」という様な事を仰っていましたが、私の観劇直後もそんな状態でした。
シアタートークがあってホントに良かった。


で、観劇後、数日かけてノートに書きだして気持ちを落ち付かせました。


* * *


観る前に各マスコミの劇評を読んでしまったので、度々目にする「ハンスは寛容」「受け入れるハンス」というキーワードを真に受けてしまった。マリア様かのようなイメージが植え付けられた。

その気持ちのまま観てたから、幾度となくハンスに共感する部分があっても、「いやいや私のような短気な人間が共感しちゃいけないと」と心が拒絶する。はぁ・・・失敗しなたなぁ(。i _ i。)


ハンスが相手を受け入れ、許すのは何故だろう?
自分の親や信仰を捨ててまでマフムードにいて欲しいのか。今まで誰にも言わずに守ってきた過去を、マフムードの為にゴミ箱に投げ捨てた。

先代に拾われた借りをマフムードに施しをすることで返そうとしているのか。
でもホントにそれだけ?
それだけで自分を傷付ける相手を許せるのか。ハンスにそうさせる一番の要因は何なのか。

家族が欲しかったハンス。
愛するソーニャにも心に潜む過去があり、求婚を拒まれ、ハンスはどこに救いを求めようとしたのか。
「俺が手に入れられないモノを何でオマエが・・・!」

自分が手に入れられなかった幸せ(家庭)。
マフムードに若い時の自分を重ねて、マフムードが幸せになることで気持ちの拠り所にしようとした?だから一緒にいることに拘ったのか。

「俺を甘く見るなよ」というセリフは、冗談にも本気にも皮肉にも聞こえる心からの苦しみ。
ソーニャに自分の過去を吐き出した姿が痛々しい。

ソーニャの前では駄々っ子になるハンス。
マフムードがハンスにとる態度と通ずるというか、共通する部分があるというか。。


ラストも含めて、ハンスが不憫でならない。

ノラもね。
身籠ったノラを守ってあげられるのはマフムードだけなはずなのに。



* * *


そして、シアタートークの内容に沿っての感想。
約1時間のトークショーでした。その間ずっと中井さんに嫉妬する私。古田めー。
(箇条書きでダラダラ書いてみました。しかも順不同。)






上演後、パン工房のセットに椅子を4つ並べてのトークショー。
出演者は、MCの中井美穂さん、演出の宮田慶子さん、そして益岡徹さんと井上芳雄さん。
「席は自由です」とのアナウンスを聞き、ダッシュで前の方の席に移動。見やすい!
せっかく益岡さん目当てで行ったのに、こんなところで芳雄ファンに負けてたまるか(笑)


最初に中井美穂さん登場。そして宮田さんを呼び入れる。主演のお二人は着替え中で、準備が出来次第登場するとのこと。
しかし宮田さんが話してる最中、セットの陰からもぞもぞと動く2つの影。どのタイミングで登場して良いのか困っているのが見て取れて海上が笑いに包まれる。


ステージの並びは、左から中井さん、益岡さん、井上さん、宮田さん。
それぞれにペットボトルのお水(ヴォルビック)配給。益岡さんと井上さんは恐らく私服。


益岡さんが話すとき、客席では無く中井さんを見つめながら話す。若干の嫉妬(。ŏ﹏ŏ)
井上さんはさすが慣れていらっしゃるのか客席に両腕を広げ話す。


配給されたお水500ml。
益岡さんはお疲れなのか、緊張で喉が渇いたのか、間が持たないのか、ガンガン飲む。
4人中ただ1人完飲。劇中(後半部)にハンスが牛乳を大量に飲むシーンがあったのに、その直後にまたあんなにお水飲むなんて。


喋ってるときに、どんどんマイクが下がる益岡さん。
遂には完全に膝に置いて話し出す。会場全体からつっこまれる。


益岡さんが客席に向かって語りかけたのは、「ユダヤ人って呼び方は民族的分類じゃなくて宗教的分類なんですよ」って説明した時くらいか。


「マフムードは何歳の設定なんだ?」というお話し。
ノラは33歳の設定だったから、勝手に30歳くらいだと思って見ていました。
そしてソーニャは50代らしい。ハンスは時代背景を計算すると60代だとか。
第一幕では初老っぽかったハンスも、第二幕でマフムードと言い争いをするときにはさすがに若々しく見えました。益岡さんの実年齢が55歳ですから、それよりも若く感じました。

それにしても東風さん、細くてキレイな体型だった。いかにもダンサーという感じ。
真中瞳時代ってあんな印象なかったです。あめくさんの評価も高いけど東風さんも素敵だ。


パンやパン生地はすべて本物とのこと。めちゃ美味しそう。


原作の脚本には舞台セットの細かい指定がしてあるそうです。
特にパン屋の道具は、実際のパン職人が使う本物に近いものを用意しなくてはならないとか。
それだけ「ハンスの人生=パン屋=守ってきたもの」を粗末に扱ってほしくなかったのでしょう。

それはこちらにも伝わってきて、舞台中に何度も出てくる「俺のパン屋を…!」「ここに持ち込むな!」「俺を巻き込むな!」というセリフにも表れてるのかなぁ。
それなのに店に爆弾を持ち込んだマフムード。あんたは今までハンスの何を見てきたの?何でそんな事が出来るの?
それでも許して、マフムードを必要だと訴えるハンス。もう・・・切ないというか不憫というか(涙)
マフムード芳雄に怒りを覚えるほどでした。(益岡ファンだから許して。)


でも益岡ファンだという事を除いても、私はハンスに感情移入していた。
あそこまで人を許せる度量は無いけれど、「そう!そうだよ!」と頷いてしまう部分が何度もありました。その理由が益岡さんの次の一言で判明。


益岡さん曰く「ハンスは何をするにも中途半端」
この言葉を聞いて、観劇中ずっとモヤモヤしていた何かがスッとどこかへ落ちていった。
あ~そっか、納得。
どなたかの感想で「ハンスが一番前を向いていない」って書いてたのも納得。
歴史的背景は難しいけど、これは個人の物語として見て良かったんだ。

私の中で、ここが一番重要なポイントでした。
何度もハンスの醜い部分に共感し、それでも「ハンスは寛容、ハンスは美しい」と自分の感情を騙し続けて見てしまった。ひとりの人間として見ていなかったかも。
(オランダが舞台になっているのもポイントだったんですね。さっさと気付けば良かった。)

そういえばハンスがマフムードに反論したのって、「相手は2人、オマエは誰も殴って無い(嘲笑)」だけかも。優しいのか気持ちが小さいのか、これがハンスなんだなぁっと。


キャスティングは1年前に決定。稽古期間は40日程。
楽屋には中東問題に関する書籍がたくさん。図書館状態だそうです。


井上さん、舞台ではくるくるパーマだけど、パンフレットではストレート。
しかも宇宙兄弟のTシャツ着てた。


粟野史浩さん怖い!(笑)元西武鉄道のアイホ部とのこと。いつ頃の選手なんだろ。
益岡さんも井上さんも「日に日に怖く、そして黒くなっていく(笑)」「楽屋で逢うと怖い」「(劇中の)握手痛いんですよ」と言っていた。

そういえばマフムードは弟の話はしても兄の話はしてなかった。(聞き逃し?)


「稽古中、芳雄くんがどんどん息子みたいになっていって、東風さんも娘みたいで・・・孫まで」とすっごく嬉しそうにニヤニヤしていた。
初孫を待つお爺ちゃんのよう。いいなぁ、あんなお爺ちゃん。猫と一緒に。


ラスト一歩前のシーン。
益岡さんは着替えで忙しく、舞台上の井上さんを見ることは出来ないそうですが、そのシーンにはとても心の奥に来るものがあるようで話に熱がこもっていました。
「本物のニュースでもコマ落としのような映像でバッグを背負った人が通ったあとに爆発が起きるのあるでしょ。ああいう人達にもマフムードの様な人生があって・・・」と、やるせない表情で仰っていました。


カーテンコールについて言及。
「この重たい芝居を見た後に、演りきった達成感で役者が笑顔で登場するのも違うかな、と。」
知人にこの芝居はカーテンコール不要と言われたそうで、その事に付いて井上さんと少し話されたそうです。

ただMCの中井さんは「カーテンコールは必要。現実との区切りをつける為に!」と力説。
私も中井さんに同意。


客層は思ったより高め。いや、失礼ながら想像以上に高いよ!びっくりした。
芳雄ファンが多いだろうから若い娘さんが占めているもんだとばかり。
芝居の内容のせいなのか、商業演劇を趣味に出来る人達(経済的に余裕のある人達)はあのくらいの年代なのかなぁ。箱の質が高いとチケットも高いよねー(´Д`)私も金欠だよ。


「負傷者16人」というタイトル。
最後に宮田さんが、飽くまで個人的な意見だけどと前置きして、その意味を説明して下さいました。
撒き散らされる16人。

ハンスの「その子供たちが土地を返してくれるかもしれない!」という言葉に望みをかけるしかないのか。


トーク終了後、何度も何度も中井さんにお礼を言う益岡さん。
黒柳徹子さんも夫婦役を演じた時に「あんなに優しい旦那様は初めて!」と絶賛されていたそうで、本当に紳士な方なんですねぇ。
中井さんが壇上から(パン屋の入口から)降りるときも井上さんと一緒に優しくエスコートされていて、挙句の果てには腰に手を添えられてて・・・中井さんにかなり嫉妬するシーンでした。
ちくしょー、古田めー(´Д`*)


最後に掃けていった益岡さんが、軽く客席に手を振り終了。


宮田さんに「宿題」を出された私たち。
各自持ち帰って、みんな身体の奥に何か分からない重たいものを抱えることになりました。


では、東京千秋楽公演を見てきます。
その後には兵庫で公演があり、シアタートークもあるそうです。
1ヶ月演じてきて、どんな話が聞けるんでしょうか?関西の方達が羨ましいです。


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アッチ

も~ほんとに感謝・感激・雨・あられ、とはこのことです(かなり古っ!)
チケット発売日には千秋楽とトークショーの日は既に完売していたので「もうダメだ」と早々にあきらめてその後チェックもしませんでした。
(いつもはすんなり取れるのでね…笑)

私は新国立の『ヘッダ・ガーブレル』のトークショーを見ましたが、益岡さんはあまりトークがねっ、、、ご存知の通りなので、舞台を見るよりもドキドキでしたよ(^^;

ヘッダ役は大地真央さんだったのでペットボトルのお水と一緒にグラスも用意されていました。
益岡さん席に着いてまず先に大地さんのグラスにお水を注いであげたんです。これがまた実に自然でね。気がついた大地さんが笑顔で軽く会釈されてました。その紳士な姿にハート射抜かれて肝心の話しはよく覚えてません(^▽^)ごめんなさい。ちなみに司会ははるしさんが嫉妬された古田…中井美穂さんでした。


カーテンコールは必須っす!無いといけません!!
余韻を強く感じるために無い場合もあるけど、あれ困ります。
中井さんがおっしゃるように区切りがつけられないし、役者さんやスタッフの皆さんの稽古からその日に至るまでの過程にだって賛辞を拍手に乗せて届けたいじゃないですか。
特に今回の舞台でカテコ無かったらあまりに重すぎて席立てない人続出したんじゃないかと…。

益岡さんはカテコの表情は大体カタイです(^^;
カテコでも板の上に居るときは自分よりも役のほうが比率が高いのかも?。だからか他の役者さんが千秋楽で客席に手を振ったりしてもあまりしない。『炎の人』で市村正親さんとの千秋楽ぐらいでしょうかね、少し柔らかい顔になったのは。
今回のトークショー終わりに「軽く客席に手を振り終了」とあったのでちょっとビックリ(☆0☆)でも嬉しかったです♪手振れるようになったんだ~って(笑)


しかし今回のハンスは難しい役どころでした。
今度は思いっきりおかしなコメディーが見たいです。
『巌流島』のようなね♬三谷さん、お願いっ!!

長々ごめんなさいでした。


by アッチ (2012-05-22 12:00) 

はるし

>アッチさん
ほーほー、なるほどです.._φ(。 。*)メモメモ

今回は女性陣にはストロー付きのペットボトルでした。男性二人はそのままゴクゴクしてました。やっぱり大地さん(女優さん)だからグラス???

あとでまた感想をダラダラ吐き出す予定ですが、カーテンコールの最後に一瞬笑ったんですよ。笑うというか口角を上げるくらいなんですけど。ちょっとハートを射抜かれました(。 ゝ艸・)

by はるし (2012-05-25 00:29) 

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